派遣社員からスピード出世する要因となった「3つの仕事術」


今回は、私の会社員時代の体験談をお話ししようと思います。

私はかつて、臨床検査機器・試薬のグローバルトップ企業に勤めていました。最初は派遣社員として2年ちょっと働き、その後に正社員として登用されました。

当時は派遣から正社員になること自体が異例であった上に、私の場合は入社当初から「主任」の肩書がついているというスタートでした。

なぜ、一介の派遣社員がそこまで評価されていたのか。その最大の理由は、派遣社員の時に『新人つぶし』の異名をとる直属上司の下で、良好な信頼関係を築き、仕事を完全に任せてもらえる関係をすでに構築していたことにありました。

過去に何人も部下を潰してきたその上司ですが、私にとっては、その特徴さえ分かれば非常にシンプルで「扱いやすい上司」でした。彼は、相手を何とかしてあげたいという熱意が暴走して言ってはいけない暴言を吐いてしまったり、「自分はすごいんだぞ」と自論を熱く語ったりする、いわば「自分に自信がないゆえにパワハラ化してしまう典型的なタイプ」だったのです。

そこで私が当時、その上司に対して駆使した仕事術は、たったの2つです。

  1. 『傾聴』(相手の思いや持論を、否定せずまずは徹底的に30分以上聴く)
  2. 『ロジカルシンキング(論理的思考)』(「でもね」と相手の意見をふまえた考えを伝えて納得してもらう)

会話は双方向でなければ成り立ちません。自分のプライドで一方通行の語りになっている上司に対し、私は会話を「双方向」に戻しただけなのです。一度このルートが確立してからは、上司が私に自論を長々と語ることはなくなり、すべての仕事を信頼して任せてくれるようになりました。

組織の大きな課題だったはずの人物と見事に融和し、現場をコントロールしてみせた実績。これこそが、会社の上層部から「最初から主任クラスとして迎えるべき人材だ」と判断された決定打となったのではないでしょうか。

■ 多くの人が義務だと勘違いしている『報・連・相』の真の使い方

さて、ここからは正社員として登用された直後の話です。 博士号を持っていた私は主任スタートで、いきなり部下がつきました。しかし、その配属された部下2人こそが、あの『新人つぶし』の上司の被害者であり、今にも潰れそうになっていたのです。

大切な部下を守るため、私がここで発動した第3の仕事術が、多くの人が単なる義務だと勘違いしている『報・連・相(ほうれんそう)』でした。

ただし、私はこれを直属上司ではなく、さらにその上の立場である「部長」に対して、上司をコントロールするための戦略的ツールとして使ったのです。

まず、私は部長に以下の事実をありのまま『報告』しました。

「私の直属上司が、チームの指揮系統である私を飛び越えて、私の部下を直接激しく叱責しています」

その上で、このように『相談』を持ちかけました。

「これでは私が間に入って部下の教育をする妨げになります。組織として問題ですので、部長から直属上司に話をしてもらえませんか」

パワハラ行為をする人は、自分の立場を守るために、自分よりも上の立場からの意見には素直に従う可能性が極めて高いものです。目論見通り、部長が裏から上司に話をしてくださったようで、それ以降、部下へのパワハラ行為はピタリとおさまり、職場の雰囲気は劇的に良くなりました。

これはただの告げ口ではありません。組織のルールを「報連相」という正攻法を使って味方につけ、部下を守り、チームの環境を正常化させるための高度なマネジメント技術なのです。

■ 準総合職から4年半でマネジメントクラスへ

これらの実績の積み重ねにより、私は正社員入社からわずか4年半という異例のスピードで、マネジメントクラスである「主任研究員」まで昇進。本来、準総合職としてのスタートでは役職がつくことはなかったのですが、総合職への転換のための半年を加えただけのほぼ最短で会社が私を引き上げていきました。後には会社からストックオプションの権利を付与され、さらには発明奨励賞(特許取得)を受賞するほどの評価をいただくに至りました。

転機は正社員(主任)になってわずか1年半の時に訪れました。なんと、その直属上司が急遽、辞職してしまったのです。組織の穴を埋めるため、後任として私の名前が挙がり、いきなり組織のトップとして本来つくはずのない「係長」という役職がついていました。

その時、私の部下となったメンバーは、私より社歴(派遣社員時代も含む)が1年ちょっと上の年下のメンバー2人と私より後に入ってきた社員1名でした。表向きには立場逆転という難しいシチュエーションですが、入社前に上下関係は実質的に逆転していました。

トップに就任して最初の仕事はそれまでにやったことのない「研究開発の企画書」の立案でしたが、私は持ち前の組み立て力で期限までに承認を得てプロジェクトをスタートさせ、予算および進捗管理も計画通りにこなして見せたのです。その後も複数の研究開発企画を立案して全て計画通りに達成し、特許取得や発明奨励賞受賞へとつながる大きな成果を創り出したのです。

■ 経験は、あとから「理論」として答え合わせされる

実は後になって、自己啓発のためにビジネススキルの通信講座を受講したことがあるのですが、そこで解説されている高度なノウハウのほとんどが、私がすでにこれらの修羅場で「実践済み」の内容ばかりでした。

講座で学ぶまでもなく、私は現場で本物のマネジメント(傾聴・ロジカルシンキング・報連相)を体現していたのだと、後から答え合わせができた瞬間でした。

――と、なんだか凄腕のビジネスパーソンのように書いてしまいましたが、当時はただ目の前の仕事をパズルのように解くのが楽しかっただけ、というのが本音です(笑)。実際、私が正社員になってから採用した派遣社員のYさんからは、今でも親しみを込めて「あゆみちゃん」と呼ばれています。仕事から離れると、どこか子供っぽくて抜けたところがあるからかもしれません。

人間関係や仕事の悩みは、感情的な気合や我慢で解決するものではありません。相手の心理を冷静に分析し、正しい「技術」を持てば、どんなに理不尽な組織の壁があっても、自分の力で劇的に変えることができるのです。

画面の向こうでガチガチに緊張しているあなた。ビジネスの修羅場をくぐり抜けてきた「プロの目」と、普段は「あゆみちゃん」と呼ばれるくらいの「ゆるい安心感」をセットにして、私はいつでもあなたの味方になります。まずはかたつむりの歩みで、気軽にお話ししてみませんか?

🐌 追伸:ちょっとした朝枝秘話

今回ご紹介した『報連相』を使って上の立場を動かす技術ですが……実はこれ、私が小学6年生の時に編み出した「いじめっ子対策」の応用だったりします(笑)。

当時、引っ越しを機にいじめっ子から目をつけられ、流行りのおもちゃを要求されたことがありました。その時、私は相手に直接刃向かうのではなく、あえて「いじめっ子が不在で、その母親が家にいる時間」を見計らって突撃したのです。そして、母親に『待ち合わせ場所に来なかったから持ってきました』と、おもちゃを直に手渡しました。

自分の親に悪事が筒抜けになる恐怖。これを突いた結果、それ以降いじめられることはピタリとなくなりました。

さらには同じ時期に学級委員長(または委員会トップ)に立候補して就任したことも、周りの空気を変える大きな転機になりました。

「相手のさらに上の存在(親やポジション)を巻き込んで、力関係のシステムをハックする」

義務だと思われている『報連相』の本質は、実はこの小6の時の知恵と1ミリも変わっていません。私のセッションでは、こんな風に「理不尽な環境をロジックで切り抜ける技術」も、あなたの状況に合わせてユーモアを交えながらたっぷりお伝えしています。ぜひ、気軽な気持ちで頼ってくださいね。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP