クローン羊って知ってる?実は30年も前の話なんだよ‼


こんにちは、ドクター朝枝です。

先日ね、ある場所で小耳に挟んで、思わず「ちょっと待って、待って!笑」と、たまらずツッコミを入れたくなっちゃったお話があるんです。

それはね……

「クローン羊は既に誕生しているんだから、将来は人間のクローンを作って、病気になったらその臓器を入れ替えて治療する時代が来るかもしれない。でも、それって技術的に難しいみたいだよ」

というお話。

……うん、確かに昔のSF映画(『アイランド』など)でよく描かれていた、ちょっとドキドキする世界観ですよね。

でもね、最先端の医療の世界に身を置いていた私から言わせてください。

「それ、今から30年前のクラシックすぎるお話だよ〜!」(笑)

🐑 クローン羊の「ドリー」は歴史の教科書のお話

世界初の体細胞クローン羊「ドリー」が生まれて世界中に大ニュースが駆け巡ったのって、実は1996年。なんと今から30年も前のことなんです。

当時は「未来はクローン人間が街に溢れるのでは……!?」なんて倫理的な議論やSF的な妄想がたくさん飛び交いました。

でも、人間を丸ごと一人コピーするなんていうのは、倫理的にも完全にアウト。そのため、その後はクローン人間はおろか、クローン動物の作成自体にも世界的な強いストップ(規制)がかかりました。

それに、当時の技術(ES細胞などを用いたクローン技術)では、人間を丸ごとコピーすることはできても、「必要な臓器だけをピンポイントで作る」ということは、論理的にも技術的にも非常に難しかったのです。

🐭 「背中に耳が生えたネズミ」の写真、見たことない?

皆さんは昔、「背中に人間の耳が生えている白いネズミ」の写真をニュースやネットで見たことはありませんか?(生体工学の歴史で有名な「バカンティマウス」という実験です)。

あの衝撃的な写真を見た当時、多くの人が「やっぱりクローン技術で動物に人間の体を作らせるんだ……」と誤解してしまいました。

でも、実はあれ、クローン技術とは全く違うアプローチなんです。

ネズミの背中に耳の形をした生分解性の型(プラスチックのようなもの)を植え付け、そこに細胞を繁殖させて「耳の形」を作った、いわば構造的なものづくりの実験でした。

そして時代は流れ、現代の医学が目指している方向は、そんな風に「他の動物の体を借りる」ような方法とは全く違う、もっとスマートで優しい世界へと進化を遂げました。

そう、我が国が誇る山中伸弥先生が開発された「iPS細胞(人工多能性幹細胞)」、つまり【再生医療の時代】の到来です!

🧫 あなたの細胞から、あなたの臓器を育てる「優しい未来」

現代の最先端医療は、わざわざ人間や動物を丸ごとコピーする必要なんてありません。

あなた自身の皮膚や血液の細胞をちょっとだけ分けてもらって、それをタイムマシンのように「何にでもなれる赤ちゃん細胞(iPS細胞)」に若返らせる。

そして、そのiPS細胞に「よーし、次は心臓の細胞になってね」「次は目の網膜になってね」と語りかけて、必要な臓器や組織だけをピンポイントで準備する技術が主役になっています。

実際、拒絶反応の少ない「人工皮膚」などは、すでに重傷のやけど治療などの臨床現場で多くの命を救っています。

SF映画のような「クローン人間を作って臓器を奪う」という恐ろしい世界ではなく、「自分の細胞から、自分を救うパーツを育てる」という、誰も傷つけないスマートで優しい技術を、現代の科学は一生懸命追いかけているんですよ。

30年前のクラシックなSF話に振り回されて怖がる必要はまったくありません。私たちの体も、医療の未来も、もっとずっと温かい仕組みでできているんですから。

またね!ドクター朝枝でした。


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